[痛みを和らげたい!股関節]当院人工関節センターで行っている手術の特徴

股関節の後方支持組織の再建による脱臼予防を行っています

当院の人工股関節置換術では後側方アプローチを使用しています。この術式は国内の約45%の施設で使用されており(2015年日本人工関節学会調べ)、他の術式と比較し広い視野が得られることから、安全な手術が可能です。
体格にもよりますが、通常は約10cmの皮膚切開で手術を行います。
手術の際に切離した股関節の後方支持組織(関節包、短外旋筋群など)は、脱臼予防のために元の位置に強固に縫合し、後方支持組織を再建することで脱臼抵抗性を高めています。
関節の変形が著しく、手術後に脱臼しやすいことが予想される患者様では、関節の構造に合わせて部品の組み合わせを変えられる人工関節(Modular neck system)を使用することで、脱臼を予防しています。

ご高齢の患者様でも手術は可能です

人工股関節の手術後は脱臼予防の姿勢(肢位)の指導を行いますが、認知症の患者様ではうっかり脱臼肢位を取ることにより、人工関節が脱臼することがあります。
近年は人工関節の機種も多数存在しており、患者様個々のニーズに最適な人工関節を選択することができます。そのひとつに脱臼抵抗性の極めて高い人工股関節(Dual mobility system)があります。この機種は耐久性の面で若年の患者様には不向きですが、認知症の患者様には大きな効果を発揮します。
当院ではこのような多種多様な人工関節の中から、患者様ご自身にとって最適の機種を選択し、最良な結果となることを目指して術前プランニングを行っています。

患者様個々の体位変化によって生じる骨盤位変化を加味したインプラント設置位置の決定

立った時の骨盤

立った時の骨盤

座った時の骨盤

座った時の骨盤

人間は個々で骨盤の体位は違っています。さらに寝ている状態(手術時の体位)、立っている状態、座っている状態でそれぞれ骨盤位が大きく変わる人とあまり変わらない人がいます。
それらを考えずにインプラントを設置しますと、インプラントの片減りや脱臼を引き起こす原因になります。
当センターでは術前に必ず寝た時、立った時、座った時のX線写真を撮影し、インプラント設置角に反映させています。

同種血輸血を回避するための自己血輸血

当院ではトラネキサム酸という止血剤を手術中に使用することで出血を予防しています。
人工関節を設置するために削った骨からは、手術中だけではなく手術後も一定量の出血が予想されますので、原則として輸血が必要となります。当院では外来で患者様ご自身の血液(自己血)を採取(貯血)し、手術の際に他人の血液(同種血)の代わりに使用する自己血輸血を行っています。貧血などの疾患で自己血貯血が難しい場合や、手術後に極度の貧血が予想される場合は、患者様ご自身の安全を考慮した上で、同種血輸血も検討いたします。
また手術中の出血が多い患者様では、手術後に傷の中に血液の塊(血腫)が発生するのを予防するために、血液を抜く柔らかい管(ドレーン)を傷の中に一定期間挿入する可能性があります。

出血・血栓予防のプロトコール